個別株分析・第7弾|アジア航測(9233)を財務11項目で採点
わが家保有の高配当株を財務11項目で分析するシリーズ第7弾。2026年7月の下方修正で財務スコアは10/11→9/11へ。それでも配当44円を据え置いたアジア航測(9233)を、PBR0.95倍・自己資本63.5%の最新数字で正直に分析します。
わが家が保有する高配当株を、1銘柄ずつ財務11項目で分析していくシリーズ。第7弾は、空から国土を測るアジア航測(9233)です。航空測量の大手で、防災・国土強靱化という「国策テーマ」が追い風の中小型バリュー株。ただしこの銘柄、2026年7月に通期業績の下方修正を発表しました。何が起きたのか、最新の数字で正直に見ていきます。
本記事は、運営者個人が公開情報をもとに行った分析・感想を共有するものです。特定の銘柄の購入・売却を勧めるもの(投資助言)ではなく、その正確性・完全性や将来の運用成果を保証するものでもありません。記載の株価・指標・配当はすべて執筆時点のもので、その後変動します。投資による損益はすべてご自身に帰属します。投資の最終判断は、必ずご自身の責任で、必要に応じて証券会社・IFA・FP等の専門家にご相談のうえ行ってください。
結論:わが家の分析カード(財務スコア9/11)
株価1,146円(2026年8月14日時点)での、わが家の分析です。測量・空間情報・建設コンサル業の業界特性を加味して11項目を5点満点で採点しました。前回分析時点(7月初旬)は10/11でしたが、下方修正を受けて9/11に見直しました。
【最新】2026年7月の下方修正で、何が変わったか
7月10日に発表された、2026年9月期(今期)の通期業績予想の修正がこちらです。アジア航測は9月が決算期で、いまは期の終盤にあたります。
| 項目 | 修正前の予想 | 修正後の予想 |
|---|---|---|
| 売上高 | 450億円 | 420億円(△6.7%) |
| 営業利益 | 約30億円 | 26億円(△13.3%) |
| 経常利益 | 約30.7億円 | 26.7億円(△13.0%) |
| 純利益 | 20.3億円 | 16.6億円(△18.2%) |
| 1株配当 | 44円 | 44円(据え置き) |
ポイントは2つです。
①「増収増益」から「微増収・減益」へ転落した
前回は売上450億・純利益20.3億の増収増益予想でした。修正後は純利益16.6億で、これは前期(約18億円)を下回る減益です。売上こそ前期からわずかに増える見込みですが、利益の伸びを見込んでいた前提は崩れました。
②理由は「公共予算の成立遅れ」
会社の説明は、公共事業の予算成立が遅れ、発注時期がずれ込んだことで上期の受注が下振れしたこと、加えて人件費や物価の高騰です。需要そのものが消えたのではなく、国の予算執行のタイミングによる期ズレという性格です。第3四半期(8月7日発表)時点の経常利益の進捗率は73%で、修正後の予想に対しては順調に着地しつつあります。
それでも減配しなかった、という事実
純利益を18%も引き下げながら、配当は44円のまま据え置きました。配当性向は44.4%から約48%へ上がりましたが、それでも中期計画の「35%以上」の範囲内。減配歴ゼロの会社が、業績が下振れした局面でも配当を守ったことは、配当の「質」を測るうえで実際の試金石になったと感じています。ただし性向が上がったぶん、次の増配余力は利益が戻らないと小さい点は正直に押さえておきたいところです。
11項目の採点結果
緑=合格、青=注意(5点満点)。測量・建設コンサル業の業界特性を考慮して採点しています。
| 項目 | 点数 | コメント |
|---|---|---|
| ①配当利回り | 4/5 | 3.84%・4%近い高配当圏 |
| ②1株配当(維持) | 4/5 | 減配なし・44円を据え置き |
| ③配当性向 | 4/5 | 約48%・中計で35%以上を目標 |
| ④営業CF | 4/5 | 公共・コンサルで安定したCF |
| ⑤EPS(1株益) | 3/5(注意) | 下方修正で減益予想へ(16.6億円・EPS91.22円) |
| ⑥売上高 | 4/5 | 420億円へ微増収・伸びは鈍化 |
| ⑦自己資本比率 | 5/5 | 63.5%・財務は健全でむしろ改善 |
| ⑧PER(割安度) | 4/5 | 12.56倍・利益減で割安感はやや後退 |
| ⑨PBR(割安度) | 5/5 | 0.95倍・1倍割れの割安水準 |
| ⑩営業利益率 | 3/5(注意) | 約6%・公共/コンサルの業界特性で薄め |
| ⑪現金等 | 4/5 | 財務体力は十分・無理のない還元 |
前回は10/11でしたが、今回は9/11に低下しました。下がったのは⑤EPS(増益予想→減益予想)と⑧PER(利益減で割安感が後退)の2つ。財務の健全性(自己資本比率はむしろ63.5%へ改善)や資産面の割安さ(PBR0.95倍)は変わっていません。
株主還元の強化分析(11項目に加えた4視点)
「減配しない会社か」を見抜く、配当の“質”をはかる4つの視点です。
| 視点 | 評価 | 内容 |
|---|---|---|
| 配当方針 | 維持 | 配当性向は15%台→約48%へ。中期計画で「35%以上」を目標。今回の減益でも44円を据え置き |
| 連続増配・減配歴 | 減配なし | 配当は10年で6倍(7円→44円)・一度も減配なし。下方修正局面でも維持し、実績が試された |
| 総還元性向 | 配当中心 | 還元は配当が中心で、節目に特別・記念配当。自社株買いは限定的 |
| ROE(資本効率) | やや低下 | 約7.5%。減益予想でやや低下。自己資本が厚く、資本効率は中位 |
評価のポイント:成長ストーリーに傷、でも守りは健在
この銘柄の魅力は「割安・減配なし・国策テーマ」の3点セットでした。今回の下方修正で、このうち「国策テーマ=安定成長」の部分に傷がついた一方、「減配なし」と「資産面の割安さ」は健在です。
PBR0.95倍と1倍割れ、自己資本比率63.5%と財務は健全で、減益でも配当44円を維持。需要が消えたわけではなく公共予算の期ズレなので、来期以降に発注が戻れば回復の余地はあります。ただし「増益で伸びる成長株」ではなく、「割安さと配当維持力で持つバリュー株」という位置づけに、見方を一段引き締める必要が出た、というのが正直なところです。
気をつけたいリスク:公共依存が現実になった
今回いちばんの学びは、この銘柄の弱点だった「公共依存」が実際に業績に表れたことです。売上の多くが国・自治体向けのため、公共予算の成立や執行のタイミングで、期ズレの減益が起きうる。これは「安定」と見ていた収益の別の顔です。回復のカギも来期の公共予算次第で、自分ではコントロールできない外部要因に左右されます。
加えて、営業利益率は約6%と薄め、ROEも7%台と中位。東証スタンダードの中小型株で売買の流動性が低く、値動きが荒くなりやすいのも大型株にはないリスクです。還元は配当中心で自社株買いが限定的な点も覚えておきたいところです。
業界動向:防災・インフラ更新の公共投資が支え
測量・空間情報・建設コンサル業界は、防災・インフラ更新・GX/DXの公共投資に支えられ底堅く推移しています。3Dデータ・ドローン・AI解析など技術の高度化が進む一方、人手不足や公共予算の執行タイミングが業界共通の論点。今回の下方修正は、まさにその予算タイミングのリスクが出た形です。アジア航測は防災・3D分野の技術力で優位に立っています。
わが家の見方
わが家はアジア航測を「割安に買える防災テーマの増配株」として保有してきました。今回の下方修正で成長ストーリーには傷がつきましたが、減益でも配当を守った姿勢はむしろ信頼材料だと受け止めています。PBR0.95倍・自己資本63.5%という守りの堅さは変わりません。
とはいえ「増益で伸びる」期待は一度リセット。中小型株ゆえの流動性の荒さもあるので、あわてて動かず、来期の公共予算と受注の戻りを確認しながら、少額で長く付き合う——という姿勢に見直しています。
まとめ
- 2026年7月に通期を下方修正。「増収増益予想」→「微増収・減益予想」に転落(純利益20.3億→16.6億)
- 理由は公共予算の成立遅れによる発注の期ズレ+物価高。需要消失ではない
- それでも配当44円は据え置き(減配なし)。財務スコアは10/11→9/11へ
- PBR0.95倍(1倍割れ)・自己資本比率63.5%と守りの堅さと資産面の割安さは健在
- 公共依存・利益率の薄さ・中小型株ゆえの流動性リスクに注意
高配当株の選び方は「わが家の11項目チェックリスト(保存版)」で詳しく解説しています。次回も、別の高配当株を同じ財務11項目で分析します。
※本記事は2026年8月時点の公開情報に基づく個人の分析であり、特定銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。株価・PER・PBR・利回りは2026年8月14日時点、業績は2026年9月期の会社予想(2026年7月10日修正)ベースです。配当性向は会社予想の1株配当÷予想EPSから算出した概算値です。配当は特別・記念配当を含む年があります(2024年9月期)。投資判断はご自身の責任で行ってください。必要に応じてIFA・FP等の専門家にご相談ください。
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