年収600万・共働き夫婦のペアローン vs 単独ローン 比較シミュレーション

年収600万円の共働き夫婦が、ペアローンと単独ローンのどちらを選ぶべきか、税制メリットや審査通過のポイントを含めて比較します。
共働き夫婦が住宅ローンを組むとき、必ず一度はぶつかる悩みがあります。「ペアローンにすべきか、それとも片方の単独ローンにすべきか」。借入可能額が大きく変わるうえに、税制優遇や団信、離婚や片方の収入減といった将来リスクまで絡んでくるため、判断が難しいテーマです。この記事では、年収合計600万円前後の共働き夫婦を想定して、ペアローンと単独ローンの違いを具体的なシミュレーションで比較します。
ペアローンと単独ローン、どちらが得か分からない
共働きで世帯年収がそれなりにあると、銀行から「ペアローンなら借入可能額が増えますよ」と提案されることが多くなります。住宅ローン控除も2人分使えると聞けば、確かに魅力的に見えます。
一方で、こんな不安がよぎる方も多いはずです。
- もし妻が出産・育児で働けなくなったら返済はどうなるのか
- 離婚した場合、ペアローンはどう処理されるのか
- 団信は2本必要になるのか、保険料はどうなるのか
- そもそも年収600万円前後の家庭でペアローンを組むメリットはあるのか
銀行側は「借りられる額」を提示してきますが、「無理なく返せる額」までは教えてくれません。ここを取り違えると、家計が長期にわたって苦しくなる可能性があります。
私たちも共働きで同じことで悩みました
47歳の私自身、購入時は共働き夫婦でした。当時の年収は私が850万円、妻が580万円で世帯年収は1,400万円ほど。銀行員からは当然のようにペアローンを勧められ、借入可能額の試算表を何枚も渡されました。
正直に言えば、ペアローンを組めば「あと数百万円分、いい家が買える」という誘惑は強かったです。
それでも私たちが最終的に選んだのは私の単独ローンでした。理由はシンプルで、妻が出産で一時的に収入が止まる可能性があったこと、そして「片方の収入だけで返済できる金額に抑える」という基準を最後まで譲らなかったからです。結果として2026年3月にローンを完済しましたが、途中で妻が時短勤務になった時期もあり、あのとき単独で組んでおいて本当に良かったと感じています。
ペアローン vs 単独ローン、何がどう違うのか
まず、ペアローンと収入合算(連帯保証型・連帯債務型)は別物です。ここでは「ペアローン=夫婦それぞれが債務者として別々のローンを組む形」として整理します。
ペアローンの特徴
- 夫婦それぞれが債務者となり、ローンが2本立てになる
- 住宅ローン控除は夫婦それぞれが受けられる
- 団体信用生命保険も2本加入(片方が亡くなった場合、その人の分のローンのみ完済される)
- 事務手数料・登記費用などの諸費用も2本分かかる傾向がある
単独ローンの特徴
- 債務者は1人。借入可能額はその人の年収に依存する
- 住宅ローン控除は債務者1人分のみ
- 団信は1本。亡くなれば住宅ローンは全額完済される
- もう一方の配偶者が働けなくなっても、ローンには直接影響しない
年収600万円世帯のシミュレーション比較
ここでは、夫年収350万円・妻年収250万円(世帯合計600万円)、35年返済・金利1.0%(全期間固定型を想定)というモデルケースで比較してみます。あくまで一般的な目安です。
ケース1:単独ローン(夫350万円)
- 借入可能額の目安:約2,500万円前後(返済負担率25%ベース)
- 毎月返済額の目安:約7.0万円
- 住宅ローン控除:夫1人分のみ
- 妻の収入は生活費・教育費・繰上返済原資に回せる
ケース2:ペアローン(夫2,500万円+妻1,500万円=計4,000万円)
- 借入可能額の目安:合計約4,000万円
- 毎月返済額の目安:夫約7.0万円+妻約4.2万円=約11.2万円
- 住宅ローン控除:夫婦2人分使える
- 団信2本、諸費用も2本分
- 借入可能額:約2,500万円
- 月々返済:約7.0万円
- 住宅ローン控除:1人分
- 団信:1本(全額完済される)
- 片方の収入減:影響小
- 離婚時:比較的シンプル
- 借入可能額:約4,000万円
- 月々返済:約11.2万円
- 住宅ローン控除:2人分
- 団信:2本(本人分のみ完済)
- 片方の収入減:影響大
- 離婚時:複雑(共有・連帯)
比較表
| 項目 | 単独ローン | ペアローン |
|---|---|---|
| 借入可能額 | 約2,500万円 | 約4,000万円 |
| 月々返済 | 約7.0万円 | 約11.2万円 |
| 住宅ローン控除 | 1人分 | 2人分 |
| 団信 | 1本 | 2本 |
| 諸費用 | 1本分 | 2本分 |
| 片方の収入減リスク | 影響小 | 影響大 |
| 離婚時の処理 | 比較的シンプル | 複雑(共有名義・連帯) |
メリット・デメリットと将来リスクの整理
ペアローンのメリット
- 借入可能額が増え、希望物件の選択肢が広がる
- 住宅ローン控除を2人分使えるため、所得税・住民税の還付額が増えやすい
- 2人で家を「共同で買った」という意識が持てる
ペアローンのデメリット・リスク
- 片方の収入が減った瞬間、家計の返済負担率が急上昇する
- 団信は債務者本人にしか効かないため、たとえば妻が亡くなった場合、夫のローンはそのまま残る
- 離婚時に売却・名義変更が難航しやすい(金融機関の同意が必要)
- 諸費用や保証料が2本分かかり、初期コストが膨らみがち
特に注意したい「片方の収入減リスク」
年収600万円世帯でペアローンを組み、月々11万円の返済を組んだとします。妻が出産・育児で1年〜数年間収入が大きく下がった場合、夫の手取りだけで月11万円の返済を続けることになります。額面350万円の夫の手取りは月23万円前後なので、返済比率は48%。これは生活がかなり厳しくなる水準です。
この記事は「年収合計600万円前後の共働き夫婦」に向けて書いています
世帯年収が1,000万円を超え、片方が辞めても十分余裕がある家庭であれば、ペアローンの恩恵はそれなりに大きいかもしれません。しかし、世帯年収600万円前後で、これから出産・育児・教育費といったライフイベントが控えている夫婦の場合、ペアローンは「借りすぎ」につながりやすい構造です。
私たち夫婦は世帯年収1,400万円でも単独ローンを選びました。理由は繰り返しますが、「片方の収入がゼロになっても返済が続けられる家計」を最優先にしたからです。年収600万円世帯であれば、なおさら慎重に判断したほうが安全です。
今日やってほしいシミュレーション
結論を出す前に、ぜひ今日、紙とスマホの電卓で次の試算をしてみてください。
- 銀行から提示された「ペアローンでの月々返済額」を書き出す
- そこから妻(または収入の少ない側)の返済分を差し引く
- 夫(または収入の多い側)の手取り月収から、その「全額返済額」を引いてみる
- 残った金額で、食費・光熱費・教育費・保険・通信費・予備費を本当にまかなえるかを確認する
このシミュレーションで「残額がマイナス、もしくはギリギリ」となったら、その借入額は単独ローンとしては無理がある、というサインです。借入額を下げるか、頭金を増やすか、物件価格そのものを見直す方向で検討したほうが、長期的な家計の安心につながります。
ペアローンか単独ローンか、という二択の前に、「片方の収入だけで返せる金額はいくらか」をまず決める。これが共働き夫婦の住宅ローンで失敗しないための、いちばん大事な順番です。
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